心をゆるめ、再起動できる一冊(逃避の名言集・山口路子)
励ますことが善とは限らない。
家庭、恋愛、仕事、自分自身・・・人生には悲しみや絶望、艱難辛苦がつきまとう。
辛い思いは人それぞれ。
落ち込んでいたり、絶望している時に、逃避の言葉はどこか寄り添ってくれているような同情してくれているような気がするかもしれない。
この本は紛れもなくそのような本だが、心を前向きにしてくれる力がある。
(買った本はダブルカバー仕様でした。左が本屋さんで売っていた状態。右が上のカバーを外した状態)
この本には著名人の名言集であり、それぞれに著者の解説が書かれている。
坂口安吾、ピカソ、神谷美恵子、ヴィクトール・フランクル、五木寛之、茨木のり子、今まで知らなかったアナイス・ニン、大庭みな子など。
副題に「特に深刻な事情があるわけではないけれど私にはどうしても逃避が必要なのです」とある。
僕自身、まさにその通りだったかもしれない。
励ましたり、鼓舞することだけが人を立ち直らせるわけではない。
この本には人間の心を深く見つめさせてくれる言葉が散りばめられている。
「逃避の名言集」とはいえ、現実をよく見て人生をいかにして生き抜くのか。
決して人生から逃げるということではないということがわかる。
最終章「それでも人生にイエスと言う」で心が昇華させられた。
最後に出てくる「生きるということは、ある意味で義務であり、たった一つの重大な責務なのです」
生きて行くうえで悩んだり、迷ったり、探したり、紆余曲折しているその人生はすでに、役割を実行している。そう思えるだけで救われた。
著者が女性ということで恋愛観などは男は違うかもしれないが、全体的に僕のようなオッサンでも為になる一冊だった。