本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

イン・ザ・プール(奥田英明)

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 なにも考えたくないときに読むのにちょうど良い(笑)
奇妙でおかしな?心の病をかかえた人たちが辿り着いた先は、総合病院の地下にある精神科だった。しかし、奇妙なのは患者だけではなくそこの精神科医と看護婦(看護師)もだった。

 Twitterでお勧めしている人がいたので読んでみたが、面白かった。笑えるほうの「面白い」だ。

5つの短編が収録されている。

①ストレス解消のためにプール依存症になる「イン・ザ・プール」。
②男根が勃ちっ放しで治まらない陰茎強直症になってしまった「勃ちっぱなし」。
③会った人に次から次へとストーカーされているような妄想に悩まされる「コンパニオン」。
④ケータイ依存症で友人依存症の高校生「フレンズ」。
⑤家の火の元、電気などを消したかどうかが気になってしかたがない”確認行為の習慣化”がエスカレートする”脅迫神経症”で家を出るまでに確認するのに2時間かかってしまうルポライター「いてもたっても」。

はじめは面白さもそこそこだったが読み進めるうちにどんどん面白くなっていった。最後の⑤はおかしくて大笑いしてしまった(笑)

5つの話それぞれ登場人物は変わるが、精神科医は同じ。この医者が子供のように無邪気でアドバイスがちょっと変。でもどこか症状を見透かしているように見えるのが凄いところ。

人間誰しもおかしな性質は持っているもので自分のどこかに似ているような癖を感じたり思い当たることがあるかもしれない。

④の友人との関わりの件なんかは昔、コミュニケーションをとりたいばかりで同じような心理の時期はあったなと思ったり、⑤の確認行為なんかは、自分も昔から少しだけだが持っているよなあと・・・。

基本的に笑える小説だけど、読み手によって何か感じることがあるかもしれない深い本なのではないかと思う。