本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

女性書店員は職場で人生を考える(店長がバカすぎて)

なんとなく、読みやすい文庫を読もうかなと思って本屋さんをうろついていた時に手に取ったら面白そうだったので買っちゃいました。

まずは、書店が舞台ということでどうしても僕が過去に書店員をしていたころの事を思い出してしまいます。

内容は、主人公の女性契約社員と推定40歳の店長とのやりとりがメインとなるのですが、実は僕自身も書店の店長をやっていたのでいろいろと思うことがあるんですね。(どうやって人を教育するか、なんていつも悩んでいました)

本の中の店長が自己啓発本に触発されて朝礼で皆が嫌がられているのにベラベラ話すシーンなんか面白いです。(僕は朝礼では話してなかったと思いますが?いろいろ読んでました)

僕が書店にいたころはまだITがそれほど進んでいなかったのですが、それでも流通の遅さや(注文した本が2週間かかるなど)、注文した本が入らない・・・(大手書店優先)などは今も昔も変わらないんだなと感じます。

それでもこの本の中では小さな書店の奮闘する様子が見えてきます。
文芸コーナーを縮小して雑貨を増やす、サイン会を開くなど。

本の素晴らしさや、書店の役割なども中に盛り込まれていますが、書店で働く女性の悩みもこの本の大きな流れになっています。

退職したい、就職した後輩が羨ましい、店長がバカ(いろんな意味で)、安定した仕事とは、恋愛、幸せとは何かなどなど。

いろいろなバカな人が出てきて全体的にコメディタッチなお話ですが、しっかりと考えさせれらる内容も含まれていて、トータルバランスが取れたとても良い本でした。

登場人物もユニークな人が多く、ドラマや映画になっても面白い設定だなと感じました。

読みながら、文章からどうしても著者は女性ように何度も思ってしまいましたが、著者の早見和真さんは男性なんですよね。そういう点でも面白い一冊でした。