本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

梟のシエスタ(伊予原新)

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伊予原さんの「月まで三キロ」が面白かったのでこちらも読んでみた。
予備知識無しで読んだが思いのほか理系の内容ではなく、舞台は大学の学長選。
准教授の後任として突如やってきたフクロウこと袋井は、夜型人間で仕事明けの朝?から大学で酒を飲むという怪しげな風体。
しかし、袋井はその見かけによらず巧妙な計らいを持っていて発言も鋭い。

5章で構成されていて、少しずつ袋井の姿が明らかになっていく。

理系の知識が詰まった「月まで三キロ」とはかなり違う内容なのが残念。

記録しておきたいエピソードを残しておきたい。

就職活動を行っているある生徒は「自分に向いた仕事」に就きたいという。

袋井は

「世の中すべての人間に、それぞれに向いた仕事が用意されているわけではない」という。そして、「蒙昧で視野の狭い人間に、選択肢など見えるわけがない。見えたとしても、そこから何かを選び取るためには、自分にとって何が大切かをはっきり知っていなければならない。選ぶとはそういうことだ。自分にとって大切なものを守り通していくことができれば、それでいい」

と言った。


心が痛い。

 

 

梟のシエスタ

梟のシエスタ