本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

本(小説)

小鳥を愛する二人の優しい物語「ことり」(小川洋子)

人の優しさをじっくりと丁寧に描かれた作品でした。 「小鳥の小父さん」と呼ばれる主人公には幼稚園の鳥小屋掃除をしていたことから園児からそう呼ばれるようになりました。 「小鳥の小父さん」には、人間の言葉が話せないけど小鳥のさえずりを理解できるお…

月と人間の優しい物語「月の立つ林で」(青山美智子)

今年の一冊目はこちら。青山美智子さんの新作「月の立つ林で」を読みました。 青山美智子さんの作品は優しい雰囲気でありながら生きることや職業、仕事などの深いテーマを背景にもっているストーリーが魅力ですが、今回は特に優しさがあふれてました。 今回…

土を喰らう十二ヵ月(映画と小説)

映画「土を喰らう十二ヵ月」を観た。併せて、小説版「土を喰らう十二ヵ月」も読んだ。 生きること、食べること、料理をすること、季節を感じること、死ぬことなど言葉だけではなく映像や演技から感じ取れた。 作家水上勉の「土を喰う日々」というエッセイが…

「犬がいた季節」(伊吹有喜)

2021年の本屋大賞ノミネート作品 ある高校に白い犬が迷い込んだ。その犬の目線で見る毎年入れ替わる生徒たちのドラマ。

八月の銀の雪(伊与原新)

伊与原新さんの作品は短編集が良い。「月まで3キロ」で伊与原新さんの作品に魅了されたのだが、この作品も科学を題材にしたハートフルな物語が5編綴られている。

猫のお告げは樹の下で(青山美智子)

ある神社に背中や顔は黒く額から山を描くように首の下をたどっておなかまで白いハチワレ猫が現れる。そしてお尻には星のマークがついている。神社にはタラヨウの樹があり、このタラヨウの葉はハガキの木とも言われ、ひっかくと文字がかける葉っぱだ。この猫…

峠(司馬遼太郎)

幕末大政奉還後、越後長岡藩に攻めてくる新政府軍(官軍)から長岡藩を最後まで守ろうとした武士がいた。 幕末には数々の英雄が生まれて語り継がれているがその中でも何か偉業を成したわけでもないが、強い思想持って生きた無名の武士河井継之助の生涯を描い…

何もかも憂鬱な夜に(中村文則)

中村文則氏の本は初めて読んだ。読みやすい文章で長くはない小説だが、児童施設、死刑、刑務所、生と死などテーマは重い。

食堂かたつむり(小川糸)

小川糸さんはよく見かける名前だけどどの本も読んだことは無かった。数カ月前に古本屋で購入したが積ん読になったままだったがようやく読むことに。スラスラと読みやすくテンポよく進む文章。だけど後半は・・・

梟のシエスタ(伊予原新)

伊予原さんの「月まで三キロ」が面白かったのでこちらも読んでみた。予備知識無しで読んだが思いのほか理系の内容ではなく、舞台は大学の学長選。准教授の後任として突如やってきたフクロウこと袋井は、夜型人間で仕事明けの朝?から大学で酒を飲むという怪…

終末のフール(伊坂幸太郎)

舞台は仙台のヒルズタウンという団地。 「8年後、地球に小惑星が衝突して滅亡する」と予告されてから5年が経った。「残り3年」という今、人々は何を考えて生きているのか・・・

月まで三キロ(伊予原新)

引き込まれる文章で優しい話の短編集。読後が心地よい。 文章自体が読みやすいところに、ふと科学の知識が姿をあらわす。そのミックスされた感じが独特で面白い。設定は違えどもそんな話が6作綴られた短編集。

神様のカルテ(夏川草介)

2010年の本屋大賞第2位作品。 タイトルは知っていたが、図書館でなんとなく手に取ってみた。著者が夏目漱石を敬愛しているということもあり興味もあった。 忙しい地方医療の現場が舞台だが、家族や友人、患者さんなどの関係がとても優しく温かい空気が漂う。…

命売ります(三島由紀夫)

三島由紀夫の本を読むのは2冊目。 刺激の強いタイトルだが、まったく内容は知らないまま読んでみた。 シリアスな思想哲学的な内容なのかと思っていたが、本当に「自らの命を売り出す」という奇妙でかつ軽妙な展開で意外な読みやすさで面白かった。(一部ネタ…

お探し物は図書室まで(青山美智子)

うーーん、良い本だった。 今年になってから小説をいろいろ読んで来たが、何なんだ?スラスラ読めるのに内容がしっかりとしていて読み応えがあり面白かった。 とあるコミュニティ施設の図書室の司書を中心に広がる5つ短編集。それぞれの話の主人公は、それぞ…

ガソリン生活(伊坂幸太郎)

伊坂幸太郎の本2冊目。 車が主人公という不思議な小説。

「二百十日」「野分」(夏目漱石)

久しぶりに夏目漱石作品を読んだ。少しマイナーな部類の本だ。 夏目漱石の本は「こころ」しか読んだことがない。今の僕には古い単語や難しい単語が多く、読み進むのに時間がかかる本だったが、読み終わってみれば「二百十日」は阿蘇山旅行にいく二人の男性の…

想像ラジオ(いとうせいこう)

どんなタイミングなのか。この本を読み始めたのが2021年2月13日。この日の午後11時08分頃に福島県、宮城県で大きな地震があった。多くの方が一度に亡くなった2011年の東日本大震災から10年経ったいま・・・

燃えよ剣(司馬遼太郎)

読み終わるのに約2週間かかったが、その期間、土方歳三と過ごしたような気分になった。これもゆっくり読む醍醐味だろうか。 読んでいる最中に、NHK大河ドラマ「新選組!」(三谷幸喜脚本、2006年)のテーマ曲が頭の中に何度も流れた。それもそのはずで僕が…

「博士の愛した数式」(小川洋子)

これは純文学なのだろうか。 僕の人生の中で、仕事としてそこそこ長い間本に携わっていた時期があったにもかかわらず純文学が何なのかわからない自分が少し情けないが、おそらくこの作品はそうなのだろうと思った。

ヤクザの熱血学園ドラマ「任侠学園」

以前この任侠シリーズの“出版社編”の「任侠書房」を読んで意外と面白く、続編のこの「任侠学園」を買ったもののそのまま“積読”になっていたが、ようやく読んだ。

「カラフル」(森絵都)

珍しく小説が読みたくなった。 いつものことながら本屋をフラフラしているとこの本が目に付いたので買ってみた。実はこの本は昔から知っていたが、今まで読もうとすら思ったことは無かったんだけどふと気になった。

コンビニ人間(村田沙耶香)

2016年に芥川賞を受賞した「コンビニ人間」。著者自身がコンビニで働いているということで話題になっていたことは覚えているがそれ以外は全く予備知識無しで読んだ。

映画を愛する人々のドラマチックな物語「キネマの神様」(原田マハ)

久しぶりに小説を読んだ。 最近よく名前を聞く“原田マハ”。 面白いと評判なのでどれか読んでみようと思い選んだのがこの「キネマの神様」だが、購入して2/3ほど読んで、その後休止していたがこのたび残りを読んで読了。読み終わって、この表紙の味わい深いタ…

40代のオッサンが初めて【三島由紀夫の金閣寺】を読む!

三島由紀夫。誰でも一度は聞いたことはある作家だろう。国語の時間に習ったかもしれないが、勉強嫌いだったし、そもそも小説の類は学生の頃は殆ど読んだ記憶がない。 とはいえ、昔書店勤めをしていたので名前は何度も目にしているし、そもそも有名な作家なの…

いい人でも欲望に溺れたら人間失格してしまう【人間失格・太宰治】

前回に続き言わずもがな有名な一冊です。 この本も例の如く、生まれて初めて読みました(汗)太宰治作品も初めてという恥ずかしさ。 発行部数は累計650万部超え。(夏目漱石の「こころ」は累計700万部超え)発表されたのが1948年(昭和23年)。72年前です。 …

40代のオッサンが初めて【星の王子さま】を読む!

あまりに有名な童話サン=テグジュペリの「星の王子さま」恥ずかしながら生まれてこの方一度も読んだことがありませんでした。 かつて、書店で働いていた時は児童書の中で「モモ」「果てしない物語」と並ぶ岩波書店の定番だったことを未だに覚えているくらい…

シンプルだけど秀逸なタイトルだと思う(夏目漱石・こころ)

なぜ今、夏目漱石の「こころ」か?というか、僕はいまだかつて夏目漱石の本をまともに読んだ記憶が無い。せいぜい学校の教科書に載っていたとかで何かの作品を読んだ程度で、恥ずかしながら本として読んだのはこれが初めてです。 「こゝろ」というタイトル。…

ヤクザと出版社経営? 「任侠書房」(今野敏)

久々に小説を読んだ。タイトルは「任侠書房」・・・なんだこの極道と本の関係は?