本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

猫のお告げは樹の下で(青山美智子)

ある神社に背中や顔は黒く額から山を描くように首の下をたどっておなかまで白いハチワレ猫が現れる。そしてお尻には星のマークがついている。
神社にはタラヨウの樹があり、このタラヨウの葉はハガキの木とも言われ、ひっかくと文字がかける葉っぱだ。
この猫が現れたときには、おみくじみたいにお告げの言葉を一枚の葉で落としていく。
そんな不思議なお告げをいただく7人の短編集。

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 青山美智子さんの本を読むのは2作目。
不思議な猫がお告げをくれるというファンタジックな設定ながら、今回も悩める人を解決へ導いてくれるハートフルなストーリーが綴られている。
とはいえ、猫はあくまで脇役で主役はそれぞれの話に登場する人たち。そんな話の中にいくつもの「生きるヒント」が散りばめられている。

自分にしかできないことを探すんじゃなく、自分だからできることがきっとある。

何かの答えを見出すのは素晴らしいことだが、そこにたどりつくまで迷いながら歩く日々のほうこそを人生と呼ぶんじゃないかと思う。

 道路の端っこって感じるのは、人間だけじゃないか?苔は自分が地球の中心だって思っていきているのかも。

神様って、人を選んだりしないよ。僕は逆に、みんながそれぞれ神様を招いているんだと思うけど。

私は話を聞いている限り、「うまくいかない人」ではなくて「うまくいかないと思っている人」が多いだけだった。俯瞰で見れば、たいていの人はそれなりにうまくいっているのだ。その証拠に彼らは一様に「自分以外は、みんなうまくいっている」と口を揃えてうらやましがるのだから。

 この作品には自分に自信が無い人が多く登場します。
しかし、本当はそうじゃない。見方や考え方をかえればもっと才能があるかもしれないし、可能性も見えてくる。
そういうメッセージが伝わる作品だった。

 

 
以前に読んだ青山美智子さんの本のレビュー

imglad.hatenablog.com