本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

高い道徳心を貫いてビジネス道を往く姿 (現代語訳 論語と算盤)

f:id:ysense:20200105064009j:plain


今年4月、2024年に日本の紙幣デザインが刷新されるニュースが流れた。
一万円札の顔になる渋沢栄一は名前は聞いたことがある。「論語と算盤」という本も聞いたことがあるが読んだことは無い。

 

そういえば、昨年の今頃か、中日ドラゴンズドラフト1位の根尾昴選手の愛読書にこの「論語と算盤」が取り上げられて話題になっていた。先日本屋さんでみかけたこの本、何気なくパラパラと読んだら現代語訳ということもあって読みやすいし面白そうで買ってみた。何年か前に「論語」を勉強しようと何冊か図書館で借りて勉強していた頃もあったが、いつも間にか止めてしまったままだった。
 

読んでみて

 
実業(ビジネス)のうえで利益主義に走らず、道徳を伴っていなければならないという信念をひたすら貫いた生き方がよくわかる。

明治維新以前から大正、昭和にかけて日本は大きく変わったが、教育も変わり、道徳心が疎かになっていく社会や企業を憂い、もっと心のある人を育て、日本の商工業の発展を願う想いが綴られている。

 

成功や失敗というのは、結局、心をこめて努力した人の身体に残るカスのようなものだ。
 大切なことは、成功や失敗などの結果ではなく“どのように生きた”かという事です。正しいことをしたのか、なすべきことをしたのかが重要であること。かの論語四書五経に精通していた吉田松陰も同じような事を言っていたように思います。しかし、この100年ぐらいで時代は大きく変わり、現代にこの考えが当てはまるのかどうかという意見もあるようですが、僕個人としてはこの考えが活かされることが理想とは思うが、それこそ結果ありきではないこと、生き方なのだと渋沢栄一は言うと思う。

 

 巻末「渋沢栄一伝」

 

また、この本では主に実業家としての渋沢栄一の講演がもとになっているようだが、巻末の「渋沢栄一小伝」では、実業家以前の渋沢栄一の歴史が簡潔に書かれており、尊王攘夷の志士、一橋家の家来、フランス渡航、明治政府官僚と本編ではわからない激動の歴史が書かれて面白い。

特に一橋(徳川)慶喜との縁、岩崎弥太郎とお互いのビジネスの考えの違いによる決裂など、まさに明治を生きた人ならではの逸話に惹かれた。

最後に、普段やかましく道徳を口にしているわりに女性関係にだらしがない話が人間味があって滑稽だった。(笑)
ちなみに妻、妾などの間に子供は30人以上いたらしい・・・

※「論語と算盤」の原本はまだ読んでいないことをご理解ください。


読んだ後に知ったのだが、2021年の大河ドラマ渋沢栄一だそうです。
これは楽しみ!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)

現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)