映画「キネマの神様」
山田洋二監督の原田マハ原作の同タイトルの映画化作品。
主人公の丸山ゴウ(郷直)役は現代パートで沢田研二、過去パートでは菅田将暉のW主演。
本来は丸山ゴウの役は故志村けんさんが行う予定だったが、残念ながら撮影途中で新型コロナで亡くなってしまった。
代役の沢田研二は写真で見る限りでは志村さんに雰囲気が似ているなと思っていたがハマリ役ともいえる出来栄えだっと思う。
原作小説「キネマの神様」とどうしても比べてしまうが、主な登場人物はほぼ同じだがストーリーは大幅に変わっている。
これを原作、“原田マハ「キネマの神様」”と言っていいのだろうか?
原案のオリジナル映画と言ってよいのではないかと思った。
しかし、映画自体は始めから終わりまで丁寧に作られた感があり、沢田研二の演技に笑えるところも多々あり、ストーリーでも何度もウルウルとしてしまった。(歳のせいもあるかもしれないが)
現代ではダメ老人と化している丸山ゴウ。しかし若かりし頃の映画監督姿は意外でありとても輝いていた。
ラストは少々強引な内容とも思えたが、一応ハッピーエンドだと個人的に思っている。人が人を支え合い、成り立っている関係性の美しさが描かれていて胸が打たれる。
昔の映画撮影現場の雰囲気や、北川景子演じる昔の女優(桂園子)もその時代に居てもなんら違和感の無い姿、演技で良かった。
菅田将暉も上手いし、友人テラシンの過去パート役の野田洋次郎はRADWINPSのボーカルというから驚いた。とても良い役だった。
原作から変わっているというと、もうひとつ大きなポイントは設定が本当の現代で2020年が舞台であり、実際の撮影でも大きな影響を与えられたという新型コロナウィルスも取り入れられている。
まさに現代社会を映した映画になっていたことも山田洋二氏の意図だろう。
最後にやはりところどころで“志村けん”が思い浮かんできたが、これはこれで良い作品になったと思う。
・原作「キネマの神様」を読んだときの記事
今思うと原作では映画マニア的なところがあったし、父と娘の関係もちょっと違うよなあと思った。