本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

ブッダという人間そのものを描いた漫画(ブッダ・手塚治虫)

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言わずと知れた手塚治虫が描いた仏教の開祖「ブッダ」(釈迦、釈尊、ゴータマシッダルタ)の生涯。

この作品の中でブッダの教えを学ぼうとするには物足りないと思います。手塚治虫自身もおっしゃっていますが、仏教の教えよりもブッダという人間そのものを描いた作品だからと思います。

ただ、ブッダの生い立ちや、どのように生きたか、どのような時代だったのかを捉えるにはとても面白くて誰にでも読みやすい本だと思います。

 この手塚治虫ブッダ、自僕が初めて読んだのは20年以上前のこと。その時も面白く読んだ記憶はあるのですが、改めて読んでみましたが残念ながらほとんど覚えていませんでした・・・(汗)

ブッダが産まれる以前のインドの社会背景からブッダ誕生、出家、修行、悟り、説法(説教)、涅槃とブッダの生涯が書かれていますが、手塚治虫はその時代を理解するために多くの架空の人物を登場させてダイナミックに脚色されています(笑)。そのオリジナリティーがこの作品の良さでもあります。

ブッダの修行のことですが、出家して修行を始めたころ、あるいはそれ以前から師のいない状態で修行をしている姿を見て、師のいない状態で修行をするということは何が正しくて間違っているのか判断ができないので、それは大変難しいことだと思わされました。だから皆師を求めるということ。

ブッダは悟った後も人との関わり合いで悩み、争いが無くならない事に嘆き、人の病気が治せなかったりと、悟った後も苦悩が絶えません。
しかし、ブラフマンの言う「人に教えを説いていくこと」それこそがブッダにおいて悟後の修行だったと思います。あくまでも「神ブッダ」ではなく「人間ブッダ」が描かれています。

 この時代では身分階級があり、差別は当たり前です。それに比べれば今の日本や先進国では自由で民主主義が当たり前です。
しかし、どんな状況にが変わっても人の悩みや欲望は変わりません。
悟りへの道へいくにはどちらの環境が良いのかそれはわかりません。
本にもかかれていますが、一人ひとりがしっかりと自立していきて行くしかない。その為の方法やヒントは多くのブッダの弟子が記録している書物(他の仏教書など)で学ぶのが良いでしょう。

このブッダの連載が始まったのが1972年。
もう48年も前のことですが、未だにこの作品を超えるブッダの漫画は無いのではないでしょうか。(あったらごめんなさい)
ブッダ漫画の金字塔ですね。

 

新装版 ブッダ 全14巻

新装版 ブッダ 全14巻

 

 今回はほどよい大きさの新書サイズの「新装版ブッダ」で読みました。

最後の巻の終わりに手塚治虫のあとがきもちゃんと掲載されていました。これ重要!

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