本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

人生を整える禅的考え方(桝野俊明)

f:id:ysense:20210317201217j:plain

禅に関する本を立て続けに読んでいますが、今回もおなじみ曹洞宗建功寺の住職桝野俊明さんの禅の本です。

今回は禅の歴史や基本的なことなどを俯瞰的に禅を見ていくという内容になっていて著者の桝野さんにとっても専門書以外では初めての試みだそうです。

 

禅とは何を行うことなのか。どんな思想なのか。悟りとは何か。日常生活に取り入れることはできるのか。禅の成り立ちや歴史、写経から茶や書道、庭園などの禅文化まで幅広く書かれています。

以下内容をまとめました。

第一章 「禅と悟り」
禅とは何なのか。禅でいう悟りとはどういうものなのか。

煩悩や欲と向き合い、今、生を生き切ることそれが禅である。
思想や思考だけにとどまらず実践することそれが禅。
そして、大宇宙の真理(仏性、真如、本来の自己)に気付くことが悟り。
基本の煩悩を消す処方箋は「呼吸」

第二章 「禅と修行」
禅宗における修行とはいったいどういうものなのか。
ふだんの生活で取り入れられること、心がけたいことなど。

お釈迦様にならって一つ一つの動作の決まり事を行うこと。
起床、洗面、食事、掃除、坐禅、看経(かんぎん)など。
修行僧はどのような一日を送るべきか記されていたのが中国の唐時代の百丈懐海禅師(ひゃくじょうえかいろうし)が作成した「百丈清規」だが、完全な形で残っていないため、新たに「永平清規」「瑩山清規」「禅苑清規」などがあり、その中に食事や生活全般について記されたものがある。

マインドフルネスは“療法”であり、禅は“行”である。マインドフルネスは効果を求めるが、禅では効果は結果としてついてくると考える。

禅の修行は行住坐臥(ぎょうじゅうがざ)の全てであるが、日常生活に取り入れる際、修行と向き合う姿勢や心を取り入れることができる。
何をするのであってもそのことに心を込めて丁寧にする。
「ながら」生活をやめる。掃除を怠らない。など。

第三章 「禅と心」
心や感情は悩みの種。
心は禅でどのように変わるのか。またどのような心がけで禅に撮りくむのか。

起こる感情を起きないように抑え込むのではなく、平静な心に戻すことが大事。
心配事に対しては「放っておくべきこと」「やるべきこと」「できること」を見極めて対処する。

嫉妬してしまう心は比較してしまうから起こる。
【随所作主 立処皆真】(ずいしょにしゅとなれば りっしょみなしんなり) どんな場所にいても、そこで主体性を持って一生懸命務めれば、本来の自分として生きていくことができる。
自分は自分、他人は他人として、その人を受け容れる。

自由とは、心を自在に変化させること。でも自分を失うことがないということ。
人にも物にも見えないものにも慈悲の心を忘れない。

第四章 「禅」
禅の意味、禅の成り立ち、禅から生まれた文化、日常の中での禅、写経など禅の全体像について。

【一切衆生悉有仏性】(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)
我々には本来仏性が備わっているが、生きて行くうちに煩悩に覆われて見いだせなくなってしまっている。だから規則正しく、厳しい修行を続けることによって、煩悩を削ぎ落とし、心を掘り下げて、隠れている一点の曇りもない心を探し出さなければいけない。

【因果応報】
(いんがおうほう)良い因をつくることで良い果が訪れる。

「一日一禅」一日に一つ禅の教えに則った振る舞いをする。

内容は禅の入門書ですが、充実した内容でした。

多くの先人たちの話が書かれていて、修行も出家していない僕のような俗人(凡夫)にはおよそ追いつくことなどは不可能だと思うのですが、人生の指針になります。
最近いつも思うのですが、とにかく「禅即行動」です。
身体を使う坐禅や掃除などももちろん行動ですが、心をどう使うか、どういう心で生きるかという行動が非常に重要だと思います。
悟りのことを知りたい人、日常生活を落ち着いて生きたい、心を安定させたい、悩みを解決したいなどという人にも役に立つ本だと思います。

画像1


2017年 大和書房刊
(下記のリンクは文庫版です)

人生を整える禅的考え方 (だいわ文庫)

人生を整える禅的考え方 (だいわ文庫)

  • 作者:枡野 俊明
  • 発売日: 2019/10/12
  • メディア: 文庫