ブッダとはどんな人だったのか?時、場所、民族などから見えてくる姿。(ブッダ入門・中村元)
前回の手塚治虫のブッダに引き続き、改めてブッダという人について学んでみたいと思いこちらの本を読んでみました。
中村元さんは日本では有名な仏教学者です。(1999年没)
名前は存じていましたが、この度初めて著書を読んでみました。
前書きにこう書いています。
釈尊の生涯を述べた署としては、古来「仏伝」なるものが多数伝えられているが、それらは釈尊を讃えるあまり、幾多の神話・伝説にまとわれているために、まるで妖怪談を読むような印象を与える。しかしいかなる神話・伝説にも、それのもとづく歴史的事実があったにちがいない。
ブッダがこの世に生まれていたことは事実だとは思いますが、(当時)インドには歴史書を残すということがなく、しかもブッダは記録に残さないように弟子たちに言っていたようなので余計に謎の部分が多いのも事実です。
本書は講演会の筆録なのですが、ブッダの生涯、思想などを事実に基づいてお話された記録です。
ブッダはいつ生まれたのか、釈迦族のこと、釈尊の家系、「天上天下唯我独尊」と言ったのは本当か?など興味の湧くテーマが書かれています。
また、ブッダは親、妻子を残して出家したことは普通の感覚ではおかしいと感じるが、実は背景にはインドの思想があったこと。
ブッダが悟った真理はブッダ自身が難しく、他者に説明しても理解できないと思い、梵天(ブラフマン)に人々に説法するように説得させられても躊躇したこと。
ブッダが死因となったと言われる、最後に食べたものはキノコか豚肉か論争(?)の裏事情。
など幅広くブッダやインド文化が書かれています。
ブッダとはどんな人だったのか、日本の仏教は知っていてもブッダのことは実はよく知らなという人にも解り易くてよいと思います。