好きなことしか本気になれない。(南章行)
「心を満たす好きなことを仕事にしたほうがいい」
ストレスを感じていたら80歳まで働けないと腹の底から感じる。
人生100年時代と言われる中、ただ寿命が延びるだけではなく、労働する(しなければならない)年齢も上がっていく。
年金の支給年齢が上がって行けば70代、80代まで働くのが普通になるかもしれない中、どんな仕事をしていけばいいのか。また、どんな仕事ならやっていけるのだろうか。
そんな疑問をベースに書かれた仕事論。
著者の南章行氏は、スキルのオンラインマーケット「ココナラ」の創設者で現社長だ。
で、どんな仕事をやっていったらいいのか。
考え方としてはこう書かれている。
自分が好きで自分に合っている生き方、働き方でなければ長くは続かない。
時代の変化は速く、環境も変わる。だから、唯一無二のスキルを一つもつのではなく、複数のスキルを持つ、新たなスキルを獲得し続ける。
自分の価値観を持つこと。
自分で自分を動かし、その都度、意思決定を下す「セルフリーダーシップ」を持つこと。
そして何より大切になるのは、「その仕事で、自分の心が満たされること」
褒められたり、認めてくれるという他者評価は絶対ではなく、永遠に続くものでは無いのです。
好きなことであれば人は頑張れるし、好きで得意で頑張れる仕事のほうが、お金をたくさん稼げる確率が高くなる。
最終的な意思決定の基準は、常に自分の気持ちにある。
そのときの自分の気持ちに正直になることが、最良の意思決定になる。
正直に生きるとともに、目の前にあるものに一生懸命に本気で生きることで成長する。
人との関係(結婚など)で、うまくいかない可能性もあるだろう。
ただ、心のなかで「もっといい誰かがいる」と思いながら一緒にいるよりも、一緒にいる時間を積み上げて自分にとっての世界一の関係を目指すほうがよほど合理的で幸せだ。目の前のことを本気で一生懸命やると、「これはなんだろう」と好奇心が湧く。「やっていて楽しい、面白い、役に立っている実感がある」「これをもっと追求したい」という愛情が湧く。
意思決定とは論理的な帰結による判断ではなく、正解がわからないなかで、意思の力で 決めることだ。そして、その結果を自分自身で受け止めることだ。
セルフリーダーシップとは何か。
自分で目標を決め(仕事を探す、変える)、
実行して達成し(自分で動かし)、
自分で評価すること(意思決定を下すこと)。
そして、
自分のことは自分で決めなくてはいけないのではなく、自分のことは自分で決めていい。
義務ではなく、権利だ。この権利を使い楽しんだほうがいいのではないだろうかと著者はいう。
本書の後半は著者のビジネスやキャリアの自叙伝のようになっていて、興味のある方は読んでみていただきたい。
著者は、
ココナラを利用することで、「人の役に立つ喜び」を味わい、「自分ごと」の実感を持つ。そうやって心満たされて自分のストーリーを生きる人を増やすことが、ココナラの使命だ。
「自分にはスキルがない」という人は、「世界は広い。いろんなものを求めているという人がいる」ということを知ってもらいたい。
と書いている。
昔なら会社や店などでないとスキルを十分に活かすことができなかったかもしれないが、ネット社会なら人と人とをつなぐことが簡単になったからこそもっとスキルを活かせる場が広がる。
マイナーだったり奇特なスキルでも、自分の心が満たされる好きなことをやって一生きていけたらこれほど幸せな事はないのではないかと思う。
「あとがき」で良い文章があったので引用しておきます。
「あっ、これが好き、面白い」という好奇心は一瞬パッと出てくるもので、感じたときに動かなければ消えてしまう。何かに興味がわくとか、何か好きだ、やりたいと思ったときに本気でやってみれば、いずれ「個人の力」になる。新しいことにチャレンジすれば、自分のストーリーが豊かになる。
この「好奇心カード」は歳をとるごとに減っていくが、一枚使うと一枚補充される仕組みになっている。