ガソリン生活(伊坂幸太郎)
伊坂幸太郎の本2冊目。
車が主人公という不思議な小説。
実が僕はそこそこの車好きだ。
数年前にこの本を何かの雑誌(たぶん車の雑誌か)で紹介されていたので図書館で借りてみたのだが、当時は小説を読む癖が無かったので途中で読むのを止めた記憶がある。この度ようやく再読することにした。
主人公はなんと車である。
(ちなみにマツダのデミオ。文章から推察するに3代目)その他多くの実在する車が登場する。
とはいえ物語は普通の若い男と、知識が豊富で大人びた小学生の弟、またその家族が中心である。
車はクルマ同志でしか会話ができないが何故か人間の言葉を理解できる。人間界に起きることに思考したり喜怒哀楽などの感情まで持っていてまるでピクサーの「カーズ」みたいだ。
車になったかのように車の感情をワイパーやボンネットを使って表現されているのが面白い。
全体的にゆるい雰囲気なのだが、謎がちりばめられていて次第に解明されていく。
車がたくさん出てくるのは嬉しいことだが、全体的にちょっと間延びした印象を受けた。もうちょっと刺激が欲しいかなと。
ラスト(エピローグ)では車と人が付き合っていくことで生まれる愛着が描かれてほっこりする。
・文中に出てくる気になった言葉
「いいかい、人間のやることの99%は失敗なんだ。だから、何にも恥ずかしがることはないぞ。失敗するのが普通なんだから」
(主人公の隣の人が「フランクザッパ」の言葉を使って子供達に話す)
大人になってもこういう気持ちは持っていたい。同じことで失敗するとダメだろうけど・・・
ちなみに主人公の緑デミオはこれだと思われる。
この3代目デミオのデビューは2007年だが今現在(2021年)でも見かける。
ちなみに4代目デミオは2014年にデビューしたが、2019年に諸般の事情でデミオの名前は消滅し、現在は「MAZDA2」として販売されている・・・