本がある日日

本は好きだが読書が苦手な男の読書ブログ。時々映画もあるよ。

幸福書房の四十年 ピカピカの本屋じゃなくちゃ!(岩楯幸雄)

1977年開業、2018年に閉店した東京のまちの本屋、幸福書房の店主のエッセイ。

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40年という長い歴史の中、書店業界の景気が良かった時代から今日の売れない時代まで楽しかったこと、苦しかったことなど書かれている。

薄い本だが、この本には本、本屋、お客さんに対する暖かい想いが詰まっている。
いつもの顔がそこにあるために行っていた長時間営業。常連さんの顔。皆で店を支え合った家族や親戚。

僕が書店員をしていた頃を思い出す。
開店準備、仕入れの面白さ、万引きという悪夢、長時間労働など。僕が現役だったころはまだ景気の良い時代だった・・


幸福書房閉店の理由はやはり本が売れないということ。
継続を望む声も多々あったほどお客様に(あの林真理子さんにも)愛されていたのだろう。
やはり行きつけのリアル店舗が無くなるというのは寂しいもので、僕自身昨年近くのチェーン書店が閉店すると聞いて寂しい思いをした。
空間を失うとはこういうことかと・・・

幸いにも本書の最後に幸福書房は違うスタイルで再開するかもしれないと匂わせる文章で終わっている。
どんな形でも本屋というものが町にると嬉しいと思う。

 

※これを書きながら、その後の幸福書房はどうなっているか調べると再開されているようです!凄い!